インバウンドモニターツアーレポート(Aコース 関山~新井)

2023年10月29日、11月4日の2日間。外国人ゲストを迎えて今回のインバウンドツアー企画のトライアルツアーを実施しました。
10月29日はあいにくの天気だったため、一部区間のみの実施。11月4日は晴天に恵まれ、最大の見どころの妙高山を望む絶景ポイントではこの写真のような素晴らしい景色をお楽しみいただくことができました。

ツアー名は「旧北国街道ゆっくりサイクリングと寿司職人体験コース」
ツアーの概要は、
豪雪地帯の妙高から上越妙高駅へ続く、今も残る街道の跡を自転車でゆっくりと下っていきます。スピリチュアルな気持ちになれる古い神社、そして広大な田園と妙高山の雄大な景色、街道に残る昔の痕跡を楽しみます。ランチタイムは上越の新鮮な魚を使った寿しをあなた自身が作る「寿し職人体験」をお楽しみください。

いよいよツアーのスタート。

出発はえちごトキめき鉄道関山駅。

トライアルツアーではポーター車両であらかじめ上越妙高駅から自転車を車に積み込んで関山駅まで輸送して、駅に着いたらすぐに自転車でスタートできるようにセットしました。

日本の交通ルール、道中での合図や注意事項など、ブリーフィングの後にツアーは出発。

上越妙高駅から関山駅まで列車で30分移動しているうちに、ガイドさんとゲストさんたちの人間関係はすでに出来上がっていたのでご機嫌なスタート♪

出発してから約10分で関山神社に到着

ここで最初のクイズというかミッション!
関山神社にある「ハートマーク」を見つけよう!
ということで、神社を案内しつつ、神社の中に潜むハートマークを探すために一所懸命見学できるという効果もあり、なかなの盛り上がり。神社のもつスピリチュアルな感覚も楽しんでいただけたようです。

【ガイドからのひとこと】
関山神社をガイドした際、軍艦妙高の記念碑について質問されたが把握しておらずうまく答えられなかった。幹の太い杉についても樹齢などが気になるようで、このあたりは次回に向けて準備できるとベター。

そして、絶景スポットのある地帯に入る前にトイレ休憩も兼ねて片貝縄文資料館を見学。もともと小学校だった建物を生かして、この地域から発掘された縄文土器などを復刻展示しています。

ガイドさんがこのツアーのためにあらかじめ用意した英語の案内も役立ちました。

そして、このツアーの目玉。
中郷地区の田園風景と妙高山、そして鉄道が広大な広がりのなかに見られる絶景スポット。
車で来ると停めるところがなく、徒歩で来るには駅から遠すぎる。
列車の中から「いつもあの場所で写真を撮ってる人がいるけどどんな景色だろう」と気になっていたあの場所に自転車ならば来れちゃうんです。

時刻もちょうど列車が通過する時間。一時間に一本程度しかないローカル鉄道ですから、チャンスは少ないのですが、今回のツアーでは12時20分から30分の間に往復2回見られるチャンスに合わせてコース設計しました。

旧北国街道エリア

中郷を含むこのエリアには豪雪地帯の雪国生活の工夫や古い街道筋の建物が多く残されていて、自転車で普通に走っているだけでも時間をわすれて観光気分に浸れます。しかもこのコースは延々と山から町へと続くダウンヒルコースなので疲れることなく、進んでいけます。

ただ、走っているだけでは雪国生活をどこに感じられるのか、何を見ればわかるのか、全く気付かずに通過してしまうので、ガイドさんからところどころで自転種を停めて、クイズタイムをしながら走っていきます。

中郷エリアの絶景の次は国の有形文化財の駅舎のある二本木駅へ。

新潟県内で唯一、スイッチバック式のホームが残る駅です。
また、明治時代から昭和時代にかけて作られた駅舎などの
建築物は国の有形登録文化財に指定されており、レトロな
雰囲気が鉄道ファンにも人気の駅です。

この駅はありがたいことに公衆トイレもあり、駅舎内にカフェや昔の鉄道に関する展示もあるので、休憩を兼ねて立ち寄ることもスイッチバックを実際に見たりできる見学スポットとしてもとても良い場所です。

クイズネタも満載。

そして、4時間のサイクリングの最後には外国人には大人気のすし職人体験です。

寿し芳の大将自らがゲストに皆さんに手ほどきを教えながら和気あいあいの中、少々ビビリながらもひとつひとつ丁寧に握っていく体験はなかなかのインパクト。

完成してみんなで食べている間も、みなさん興奮状態(笑)で大いに盛り上がります。

【ガイドからのひとこと】
寿司体験はシェフのこだわり、顧客満足に対する高いプロフェッショナリズムが圧巻。日本人でも馴染みの薄い内容ばかりで「シャリの握り具合やかたさ」「食感や風味、後味」など食レポレベルに関する英語訳が求められるため、今日一番の難易度。逆にこのあたりをうまく伝えることで参加者の満足度、日本文化への理解度もさらに高まりそう。

以上、「旧北国街道ゆっくりサイクリングと寿司職人体験コース」モニターツアーの報告でした。

約15km 5時間のツアーでしたが、
・ランチタイムが14時スタートとなるために、10時の出発時点で水とスナックを事前に配りました。
・下見の時に発覚した横断が危険な交差点を回避したルーティングでマップを作り直し。
・ポーター車両で自転車の配送と回収を実施し、見どころを優先したコースを作成。
・絶景スポットでの列車通過時間帯に配慮した進行の実施。
・先頭のガイド車両とゲストとの距離が空きすぎないようにするための合図や入り。
などの工夫や配慮をしながらのツアー造成を行うことで、ゲストの満足度も高まったのではないかと思います。

後日、ゲストさんたちからいただいたアンケートの一部を抜粋させていただきます。

<ツアー内容とガイドについて>
・ガイドさんが適切なタイミングで情報を提供してくれた。
・”すべての観光名所を見ることができて、とてもよかったです。サイクリングの合間の休憩や、神社、学校博物館、駅を訪れるのが好きでした – 駅で昔の列車の料金表を見るのが好きでした!ビューポイントは私のお気に入りの場所でした。
・ツアーガイドの知識と熱意がツアーの魅力を高めてくれました。 “ツアーガイドは2人とも素晴らしかった。 ケンさんの英語力は素晴らしく、エリコさんの準備と親しみやすさは最高でした。
・クイズは楽しく、ツアーのストーリーをうまくつないでいると思いました。”
・ガイドさんについては、神社や縄文時代の博物館(特に、すべてのことが日本語で書かれているので)、駅などについて、もう少し詳しくゲストに伝えられる知識豊富なガイドさんがいるといいと思います。
<自転車とコースについて>
・アシスト機能がなくても十分楽しめたかもしれない。
・電動アシストのおかげでサイクリングがとても楽で、美しい田園風景を見て回るのが楽しかったです。
・自転車での移動はとても楽でした(もう少し距離があってもよかったと思いますが)。
・私は身長が183cmあるのですが、自転車は快適ではありませんでした。 もう少し大きい自転車の方がよかったです。

<寿司体験について>
・寿司体験は素晴らしかった。 みんなとても親切で、寿司を作る技術を学べてよかった。寿司職人の東條さんはとても腕がよく、忍耐強く親切でした。
レストランはとても素敵で広々としていました。 外から見ると古くて伝統的な感じでしたが、中は新しくて素敵な内装でした。
・お寿司の体験はとても美味しく、深い内容だったので、それだけでも特別な体験になり、ツアーの強い味方になると思います!
・寿司体験では、小さすぎるジャケットを渡された。 私は大丈夫でしたが、他の人は恥ずかしかったかもしれないので、今後は人のサイズや気持ちを考えた方がいいと思います。
・お寿司のネタの切り方についても教えていただきたかったです。

<行程について>
・”午後3時までランチを食べるのを待つのは大変でした。
  12時に軽食休憩を設けて、お客さんが寿司を作り、寿司について学んでいる間にお腹が空かないようにできないでしょうか。
・電動アシスト、短いキロ、コースの下り坂のおかげで自転車は楽だった。だから、とても簡単な自転車ツアーだと宣伝したい。
 一方で、もし少し短いツアーか、もう少しスピーディーなツアーも希望したい。
以上

寿司体験のランチの時間がお店の混雑時間帯を避けるために14時に入店してそこから体験が始まったため、実際に食べた時間が遅くなってしまいました。出発前には水とスナックを用意して少し腹持ちができるように配慮したものの、もう少ししっかりと食べられた方がよかったという反省が残りました。また、外国人のみなさんの体型も意識して準備をしておくことの必要性もご指摘いただきました。
また、片貝縄文資料館は思いのほか、外国人の方には興味を持っていただけるコンテンツでありながら、十分にガイドできなかった点が反省として残りました。当初スケジュールに入れていなかったのですが、トイレ休憩も兼ねてあとから組み込んだのでしっかりと準備できていなかったところが反省点です。

総じて、サイクリングツアーのコンテンツとしての魅力は伝わったものの、細かな点で配慮が足りていないことも多く、商品化に向けてはさらにきめ細かく準備を進めてまいりたいと思いなおしている次第です。

ご参加いただいた皆様、貴重なご意見、ありがとうございました。